I failed.
2025年が始まりました。今年もよろしくお願いいたします!
なんて言いつつ、せっかくの新年一つ目にちょっと愚痴というか懺悔というか…なので後で消すかもしれません。
音楽家として暮らしていると、誤解されていることとか期待外れなこと(相手にとってこちらが、ですよ)とかいろいろあります。
同業者の皆さんはどうお考えかは全くわからないのですが、以前お世話になっていたプロデューサーさんには、これかからここに書こうとしているようなことを「言わないほうがいい」と諫められたことがありますので、思っていても言わないものなのかもしれませんし、皆がそう思っていないから言わないほうがいいといわれたのかもしれません。そもそも私は仕事以外の場ではあまり同業者さんとの交流が少ないのでよくわからない…とにかく、そこはご了承いただいたうえでお読みいただければ幸いです。
さて、そういうわけで、人と知り合う場合、偶然こちらがが音楽家であるとか、音楽家だからこそ知り合った(先生としてなど)とか、とにかくこちらが音楽家で相手は非音楽家であるとなると、起こりがちなことがあります。それは、「こちらは音楽の話をしたいだろうと思われる」し、相手も「音楽の話をしたがる」ということ。
これがねえ…結構難しいというかなんというか…
もちろん相手が生徒さんとか生徒さんのご家族とかでレッスン中やレッスンに関することが音楽の話題なのは、それはそう。ここは仕事の部分ですので当然そうなります。
あと、誤解のないように言えば、こっちは仕事としてやっててうんざりしてるから音楽の話をしたくない、とかいうのとも違います。ただ、確かにこちらは仕事なので、音楽に対してのいろいろなことは、なんというか…音楽を愛好していらっしゃっても職業としての音楽家ではない、といった方々の予想されるものとどうやら違うんだと思うんです。
なので、お食事やパーティーに呼ばれたり、友達同然のおつきあいをしていただく場合などに問題は起きるのですが…
つまり…たとえば「あのピアニスト知ってる?」とか「こんなコンサートに行ってきたんだよ!」「今配信されてるこの動画がよかった、ぜひ見たほうがいいと思う!」など様々なおすすめや感想が楽しい話題として出されたり、リンクなどの情報とともに「わざわざ」私個人宛にメールやメッセージアプリなどで届く、みたいなことが頻繁に起きるわけです。教えてあげよう、喜ぶだろう、役立つだろう、音楽があんなに好きなんだから。
それのどこが問題なのかというのがなかなか分かってもらえないかもしれませんので、ちょっと別の職種に例えます。
お友達がレストランのオーナー兼料理人だとしましょう。
「最近オープンしたあのレストラン知ってる?評判いいよね!さっそく食べに行ってきたよ、あなたはもう食べに行った?すごく人気なんだってね、あれがおいしかったからおすすめだよ、地図はこのリンクだよ!」
みたいなメッセージ、送りつけようと思いますか?私なら…送らないです。
でも、こういうのって気にせず送ってるものなんでしょうかね…私も店をやっているのに、よその店に食べに行った話に愛想よく相槌を打たないといけない、みたいなことになるわけですが…
しかも、こちらの宣伝に対しては「ごめん、その日はいけないなー」とかいうことでなかなか来てもらえなかったりもします。親しいからこそ気軽に断られます。もちろん相手も忙しいし、私の分野やプログラムには実は興味がないんだろうし、それはもう、仕方ないことなので慣れてるんですけれど…わざわざ店頭にやってきて注文もせず私の料理には興味を示してもらえず、ただよその店の話だけして帰る相手に辛抱強くにこやかに対応する、みたいなことがものすごく頻繁に起こるんです。音楽好きの友達同士として、楽しいひとときをシェアしてる、と。
私は自分が心から尊敬する同業者のことはあまり話しません。前述のような話題で対応され、私の本当に敬愛する物の価値がかき消されることにちょっと耐えられそうにないからです。「おすすめの音源」とかの話になっても、決してそういうことをしないとわかっている友人・知人にしか自分の本当に好きなものを明かしません。
でも、「尊敬するアーティストは?」としつこく聞かれて仕方なく明かしたことはあります(嘘をつくわけにもいきませんし…)。それで一度そういうことがあったときに、その晩「早速動画サイトで見てみたよ!この動画知ってる?きっとあなたにとっても面白いと思うよ!」って…リンクが送られてきた。
なぜ、ずっとずっとずっと長いこと心から尊敬して大事に大事に本当に大事にしてきたものに関するその動画を、検索ボックスに入れたらトップに出るその動画を、根掘り葉掘り聞かれて渋々そのアーティストについて言及した私に、わざわざ送ろうと思ったのだろう…
いや、送ってこられても私は何も損しないし、相手はすごく親切に同じ話題をシェアしようと歩み寄ってくれたのだろうし、その方と私は母語が異なるからその動画にはいきつかないだろうと思っただけかもしれない(といってもその方の母語のほうで会話してるんですけれどね…)。
でも。
私が長い間、3歳からずっと、本当に苦しみながら向き合ってきたものに、どうしてそんなに簡単に踏み込んでくるんだろう。どうしていきなり横並びになろうとするんだろう。せめてこの、自分の専門分野くらいは、少しだけ特別に扱ってもらえたりはしないのかな。しないんだよな。
リアルでの知り合いであればたいていは我慢するのですが(SNS上でのつながりなどでは然るべき手段でそういう話題を避けることは可能ですし)、ちょうど1年前くらいに、10年来本当に素晴らしい友達付き合いをしてくださっていた方に、ついそれを言ってしまったんです。いやなんだってことを。ほんとはすごくつらいんだってことを。
で、別の理由だとは思うんですが、連絡が途絶えてしまった。私が失敗したっていうか…うまく言えないけれどつまりあらゆる意味で、I failed.ってことだったんだと思います。
ほかの場面でも「プライド高すぎてうざい」みたいに言われることがずいぶんありますが、どうしてプライドを持ったらいけないんだろう。自分がやってきたこと、そんなに価値がないことにしないといけないのかな。
なんでなのかな。

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