入っていなかったおにぎりの具と信用経済
- eri tsuchiya
- May 19
- 4 min read
Updated: May 20
最初に言っておきますが、私は経済にも経済用語にも詳しいわけではありませんから、タイトルに挙げた「信用経済」というのも、たぶんちょっと違うんだと思います。完全なる素人が言葉の表面的な意味で何となくそういうことかなと思って使っているだけなので、なにとぞご容赦くださいますようお願い申し上げます…
あ、あと、ブログ更新お久しぶりです!年末~新年と年度末~新年度に加えて、自分がかかわっている案件が結構今まさに年度末みたいな感じで、まあそれも例年のことなのですが、つまり、毎年前半は年末と2つの年度末、後半はちょっと一息ついたところで夏の終わりから新年度~年末があっという間にやってくる、みたいな流れ…なかなか慣れられません。
ブログに書きたい映像作品なんかもたまってるしいろいろ考えていたんですけれど、今日は、おにぎり🍙。おにぎりの話です。
といってもこの「おにぎり事件」が起きたのは結構前の話なんですが、最近はお米の価格が高騰しておにぎりも高くなってるなあ…という流れからちょっと思い出したんですよ。
その日は受験生の試演会でした。当時私が下見していた生徒さんたちが集合し、大学から先生もゲストにお招きして講評していただくことになっていて、私は責任者としていろいろあわただしかったので、会場入りして準備をしつつ、開始前にあたふたと道中のコンビニで買ってきたおにぎりを食べました。今でも覚えています。野沢菜のおにぎりでした。
で、あと一口あたりまで来て、ふと気づいたんですよ…野沢菜の味も食感も口にない、ということに。
これ、具が入っていなかったのでは…?
結構ショックで動きが止まってしまい、すでに集合していた受験生が「どうしたんですか?」と。「うん…このおにぎり、具が入ってなかったみたい…」
そしたら一人は「えーひどい」みたいな反応だったんですが、一人は「ええ!それってなんかラッキーなんですよきっと!」
そこにやってきた大学の先生もその意見に同調して「それは『あたり』なんじゃないかね?」ってニヤニヤ。
でもねえ…私は結構ショックだったんです。
おにぎり一つ買うお金も、私はこの仕事で得たお金で買うわけです。無駄にしていいものなんか一つもない。ケチで言ってるわけではなく(といってもまあそう思われちゃうんでしょうけれど)、当時100~120円程度だったと思いますが、たったそれだけのお金であっても、それは湧いて出たのではなく、例えばその日の試演会に参加した生徒さんがうまくなるために私に払ったお金です。
しかも、おにぎりの具が入っていなかったということって、例えば帰りに購入したコンビニによって返金交渉をできるものでしょうか。きっと真面目に話してきちんと交渉すれば返金しいてくれたかもしれませんが、ほぼ食べ終わってから気づいたし、もうどうしようもない。写真や動画で一口ごとに証拠でも残さない限り、具が入っていなかったことを証明するのは難しいですよね。というかまず、具が入っていなかったとはいえ、おにぎりを食べたことは食べたわけで、具の価値はおにぎり全体のうちのどのくらいを占めているものなんだろう?
で、ああ、おにぎりって、信用経済なんだ…と。
再度申し上げますが、私の使い方では用語としてたぶん定義がおかしいだろうし、第一そんなの大げさだよね…とは思うんです。思うんですけどね…
でも、これって結構盲点というか、グレイゾーン的というか、消費者も製造者も悪用しようと思えばできちゃう理屈がそこにある。
消費者「具が入ってなかったよ!返金して!!」でも証明できない。
製造者「生産ラインはきちんと管理されてるよ!具が入っていないことはありえないよ!」でも入ってなかったんだよ…
目の前で握ってもらうスタイルとかだったら話は別かもしれませんが、コンビニおにぎりの具が入ってるかどうかは店頭で確認できません。その取引は、まさか具が入っていないとは思わないという信用によって成り立っているわけです。
そこに、自分は持ち合わせないポジティブさで「それむしろなんかラッキーなんですよ!」って言われても、自分としては、なんか突き放されて私のほんの小さな懸念も切り捨てられたように感じてしまったし、笑い飛ばすことなんてできなかった。
それがたった100円であっても、その一口の不在が生む違和感は、私には結構大きかったし、なんか、当たり前にしていた前提が破綻していくのがちょっと不気味ですらあった。
小さな、ほんの小さな「信用のほころび」。
生活のこまごましたことにこまごま向き合うととかく面倒な人間扱いされがちですが、少なくとも自分にとっては「ポジティブ」に笑い飛ばしていい問題ではなかったので、ずっともやもやしています。そのもやもやを抱えて、めんどくさい人間として生きていこうと思います。

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