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ビッグバードはカナリアである

え?ビッグバードってセサミストリートのあの黄色い鳥でしょ?

あれ、ダチョウじゃないの???


いいえ、違うんです。


ビッグバードは一応カナリアであるとされています。

セサミストリートに登場するキャラクターたちは、何をモデルにしているか、年齢や性別はどうなっているかなどが明かされていないこともあったりします。ビッグバードについても、参照する資料によってはカナリアであるかどうか言及されていない場合もありますが、「身長249㎝のカナリア」と明記しているものもあります。また、大きいので大人だと思われていそうですが、制作側はビッグバードの思考や行動の基準年齢について人間でいえば6歳くらいと設定しているそうです。


実はわたくし、セサミストリートがかなり好きなんです。

といってもちょっとこだわりというか条件というか、マペットの制作や演技をジム・ヘンソンやフランク・オズが手掛けていたころのセサミストリートのファンです。このマペットという語もジム・ヘンソンが考案したマリオネットとパペットの複合語です。

セサミストリートとしての最初期(1969年)についてはあまりわからないですし、自分が幼いころに大好きで見ていた時の記憶も部分的ですが(あまりTVを観ないで育ちましたので国産?の子ども向け番組は全くと言ってよいほど観たことがないのですが、セサミストリートだけはたまに何とか観させてもらっていました)、今でも動画サイトなどで見ることができる1970年代~1990年代半ばごろまでが特に好きです。


セサミストリート誕生とその成功の裏には様々な要素があったと思いますし、ジム・ヘンソンさんも当初は子ども向けの番組としてこういう形になっていくとは思っていなかったようです。ベトナム戦争の影響と関連などについて記している解説なども見たことがあります。

ですが、私はもともと幼いころから人形劇やストップモーションアニメが好きだったということもあり、セサミストリートについても思想を読み取ろうとかしたわけではなく、純粋にセサミストリートのファンとして鑑賞し続けていた立場でした。そして、結果的に分かったことがありました。

それは、セサミストリートが人権問題に深く配慮した作品であるということです。


例えば、ビッグバードってカナリアなんですよ!という話をすると、「あんなに大きいのにカナリアなの?」「声だってカナリアとは思えないよ?」って言われます。わかります。でも、私はビッグバードがカナリアだと知った時にほんとに興奮したんですよ。うん、そうだよね、大きいカナリアがいてもいいし、カナリアだからって高い声でさえずらないといけないわけじゃないんだよね!って。


そこから、いろいろなことが結びついて、少しずつこの番組の理念がわかってきたんです。


実は今現在セサミストリートがどんな雰囲気になっているかはあまり知りませんので、私がここで書くのは私の好きだったころのセサミストリートについてであることはご承知おきください。


セサミストリートは1時間近い番組でしたが、その中は3~5分程度のセクションに分かれ、数字やアルファベットを学ぶ部分にお話や歌が混ざったり、街の様子や食べ物、仕事、世界のいろいろな文化や場所などについて紹介する動画、ゲストが登場するコーナーなどを挟みつつ、その日のストーリーが進行する構成でした。


アルファベットは毎回一つの文字を取り上げて、その形や名称を繰り返し紹介します。単語の読み方をフォニックス的に学べるような動画なんかもありました。

数字の学習でも回ごとに1~10の中の1つの数字が選ばれていますが、同時に1~10(12までの時もあったと思います)を数えるものも組み合わさっていて、どちらにしてもカウント・フォン・カウント(カウント伯爵)がよく登場します。この名前はもちろん、数えるという意味のcountと伯爵を意味するcountをかけたものですね。見かけはドラキュラっぽいですが、いつも何かしら数えては「ハーッハッハッハッ!」と大喜びします(アーニーが電話に出ようとすると「ベルの数を数えているから駄目だ!とか言って困らせたりもします)。それとは別に、回によってはスペイン語の数字を学べる歌なんかも出てきます。


そういうものに挟まって流れた日常生活を描いている系のショートアニメで、ものすごく衝撃を受けたものがありました。

幼稚園か小学校低学年の遠足で先生に連れられた子どもたちが公園かどこかで遊んでいると、そこにUFOが着陸して、中から宇宙人たちが下りてきます。その、絵にかいたような宇宙人(アニメですから当然ですが)は子どもたちに近づいて一緒に遊びたいといいますが、子どもたちは先生に「こんな変な宇宙人と一緒になんか遊びたくない!」と訴えます。すると、なんと、先生が「あなたが宇宙に行ったときに宇宙人にそう言われて一緒に遊べなかったらどう思う?」って聞くんですよ!


いや、もちろん…危険かもしれないから注意しなくちゃ、とかいう突っ込みもあるのは承知の上で…

なんか、すごくないですか?


ほかにも、漢字を紹介するショートアニメで、「雨」という文字が窓枠と窓の外に見える雨にかわっていく様子が描かれたものなんかもありました。これも、うわあ!漢字わかるってかっこいい!すごい!ってなんか興奮しました。


それで、ようやくわかったんです。なぜこの世界に登場するキャラクターたちの色が青かったり赤かったりするのか、ということが。


セサミストリートが始まった1969年は、アメリカ国内で州により異人種間の婚姻が違法だった状況がようやく少しずつ変わり始めた時期です。


身長8フィート2インチのカナリアがいて、何か見たらそれを数えずにはいられない人がいる。グローバーが働くレストランの常連客フレッド・ジョンソンさんはグローバーと同じく青い。セサミストリートはそういう街です。


ジム・ヘンソンやフランク・オズについては映画「ダーク・クリスタル」のことも書きたいので、そのときにまた。



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