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ティザーという文化

先日マストドンで相互フォローの方とやり取りしていて「今の社会は何でもかんでもティザー動画みたいになっちゃいましたよね」という話になりました。


ティザー動画(予告、広告)という言葉が広まってきたのはいつごろからでしょうね…

映画の予告は以前からあったものですが、ティザーとしては従来の予告動画より短いことでSNSでも拡散されやすいのでここ数年で急速に広まった気がします。が、詳しいことは調査していないのでわかりません。

ティザー=teaser、つまりteaseするものや人という意味ですね。辞書を引くとこのteaseの意味は割と幅広いので一言に訳すのは難しいけれど、ティザー動画や広告とは何かという点で検索すると、内容を小出しにチラ見せして興味を引く目的で段階を踏んで予告していくもの、などといった説明が一般的なようです。

もちろん、映画だけでなくドラマやアニメの新シリーズ、新曲MVのちょっとしたカットを数秒だすものなど、いろいろなものを含め、様々なものがティザー動画きっかけで話題になります。


このteaseという語には私はあまり良い印象がなかったので(からかう、もっと言えば、煽るというか苛立たせるというイメージとして覚えたので)、どうも「ティザー動画・ティザー広告」と言われると「えええなんか嫌な感じ…」と思ってしまうんですが、英語でももちろんteaser videoとかteaser adという語は普通に使われているので、英語話者にはこの語は別に印象は悪くないんだろうか…というのは誰かに聞いてみようと思いつつ…まだ聞いてなかったな。


唐突ですが、クラシック音楽は、プロが演奏する楽曲でいえばどれもこれも結構長いです。短いといわれる作品でも3分を下回るのはなかなか見つからない。曲集の一つを取り出せば1~2分のものもなくはないけれど、曲集は本来全曲演奏される前提と考えることもできますので…そうなると結局15分以上とかになってしまいます。曲集や多楽章構成の楽曲ではなく純粋に「1曲」として自分のレパートリーの中で最も長いのは、リストのソナタ(30分強)ですかね…30分間、楽譜のレイアウトにもよりますがおおむね35ページほど終止線がなく続きます。弾くほうもしんどいけれど、聴くほうも多分もっとしんどいです(笑)。

最近の短い動画サイトの流行で、こういった長い曲はますます敬遠される傾向が強まっているなあというのは感じます。数十秒でインパクトがあって視聴数が稼げる(という表現はよくないかもしれませんが)ものばかりが話題となり、なかなか曲の全体を聞いていただくことができません。気になるのであまりチェックしないようにしていますが、動画サイトにアップしたものは「最後まで再生された率」とか「平均視聴時間」などがスタッツとして分析されてしまうものであり、これを見ると、2分の動画でもなかなか最後までは視聴してもらえないものだということを思い知らされます。


そんな傾向がどんどん強まるなか、広告などは反応をうかがいながら煽っていくティザー動画中心となり、そのほかあらゆるものが「インパクト」と「検索できるキーワード」で煽られ、「わかった気にだけはなれる、ある種の満足感」で弄ばれ、同時にいつまでも満たされることのない「具合の良い物足りなさ」を目の前にぶらさげられ、何ひとつ深まらないまま表面をいじられ続ける(tease)。


大げさかもしれませんが、こうして今すべての事象においてちらっと見せて「なんかすごいらしい」と思わせる目的が先行するようになってしまってはいないでしょうか。もちろんそれはそれでいいんですが、すべてがそれ「だけ」で取り沙汰されるようになっちゃっている気がしてならないんですよね…

政党の選挙戦略なんかでもそれを感じずにはいられない。うまく言えないし、またしても大して考えがまとまらないままに書き散らしてしまったんですが。もう少し考えようと思います。



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