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おとり捜査を依頼された話

おとり捜査・・・を依頼された・・だと・・・?


と思う方もいるかもしれません。でも、はい、依頼されたんですよ、警視庁の「常習犯課」?だったかな、そういう部署の刑事さんに。

詐欺の常習犯で手配中の容疑者と、私があるきっかけで接触し、いろいろないきさつがあった上で、それが刑事さんのところにつながり、連絡が来た、というのがざっくりした流れです。以前にもツイッターで少しかいつまんでお話したことはあるんですけれど、そのことを改めて書きます。


今更また書こうと思ったのは、1週間くらい前に「最近大学生など若い人を狙った詐欺が増えているらしい」というツイートを見かけたからです。「すごい人と知り合ったんだよ!紹介したい、ぜひ話だけでも聞いてほしいんだ!」みたいな話から入ってくるそうです。


あと、先に言っておきますが、私は被害は一切受けませんでした。ご安心ください。


私がその人と遭遇したのは人を介してではありませんでした。

当時私が住んでいた集合住宅の私の部屋の真上に、その人は引っ越してきました。これは本当に、たまたまです。その時点で私が付け狙われて、とかいうことではありません。


集合住宅といっても世帯数が少ない物件で、大家さんの家が隣接していたので、その建物の新築当初から住んでいた自分のこと(ピアノの音が出ること)は物件を見に来た人に大家さんが説明して、それを承知の上で入居してきたはずであることはわかっていましたが、トラブルを避けるためにも、人が入れ替わったときはなるべくこちらから挨拶していました。そのときもある人と建物の入り口でばったり出くわして、おそらく新しく引っ越してきた人だろうと分かったので、自分から挨拶をしました。


自分より少し上の世代の男性。仮にMさんとしておきます。もう一人どうやら仕事関係らしき人(やはり少し上の男性)が車から降りてきて何やら話していて・・・みたいな状況だったので、「お忙しいところすみません」と手短に済ませるべく話しかけたら、「あーピアノ弾いてる人?僕も芸術関係なんだよ、でも分野が違うけどね」とMさん。名刺を渡されて、今はそこにどんな肩書が書かれていたか忘れてしまいましたが、とにかくアートディーラーだということはわかりました。

で、なぜかMさんという苗字ではなく、名前のほうを強調し、「○○ちゃんって呼んでくれていいから」とか冗談ぽく言っていました。まあ、いっちゃあなんですけどおじさんにはありがちなので、まあ、はい・・・とおもいつつ、なるほど、アート関係といってもディーラーさんなのか・・・うん、でもなんかな・・・。


そして、ピアノの騒音でご迷惑おかけしています、と言ったら「いやー僕も昔ピアノ弾いてたんだよ、リストぐらいは弾いてたけど今はすっかり指が固くなっちゃってね」と。


うん・・・?申し訳ないが、そう見えなかった。これは偏見でしょうけれど・・・。

そして、ピアノ弾いていた人なら「リストぐらい弾いていた」という言い方は、なんていうか、ちょっと引っかかる。

自分の世代とかでよくあるのは「バイエル程度」とか「ソナチネで離脱」とかみたいな言い方ですが・・・リスト程度?リストだってコンソレーションならそう難しくないし、リストは作品数がめちゃめちゃ多いから「難易度のたとえ」には意外と使わないんですよね・・・使うなら曲名出して「あれはきついねえ」って話になる。


あと「指が固くなる」も言わない。むしろ、今弾いたらよれよれだろう、とか、すっかりなまった、とかいうと思う。ピアノ弾いたことがあって、リストの何らかの曲を弾いていたなら、指が柔らかいから弾けるとかいう発想はしないと思うわけです。


自分は直観とかあまり信じないし、自分は決して勘はよくないし、たいてい外れるものだと思っています。でもすごく引っ掛かりました。


そこにいたもう一人はやはりMさんの仕事の関係者で、その人にも名刺をもらいましたが、あるアートギャラリーの経営者だということでした。扱ってきたものなどのサンプルが掲載されたカタログをもらいましたが、一時期よく見かけた商店街などで声をかけてくる類と違って、少なくともサザビーズとかで扱われる系のかなりガチ?なやつでした。この人は何となくそれっぽい気はしました。でもちょっと警戒しました。


Mさんはその人を待たせつつ、「最近もユトリロを扱った、イタリアの○○(某有名ブランド)の社長が購入した」などと話しかけてきます。

でも、ここも引っ掛かりました。なんとその有名ブランド社長がその頃に購入したヴィッラ、たまたま自分のイタリア人の知り合いが売却した物件だったんです。


あれ、なんかへんだな・・・と思いつつ、その話を受け流しつつ、頭フル回転。


で、思い出したんですよ、数日前にうちに遊びに来ていた生徒さん(大学生ですでに成人)、喫煙者だったので窓を開けて一服していたんですけれど(うちは基本禁煙なので)、その時にちょうど、私がちょっと前にイタリアで受けた国際コンクールでリストのソナタがきつかった話もしたし、そのイタリアのブランドの話もたまたま出た。それを聞いていた?なんか怪しい。


そんなこんなで、ファーストコンタクトはめちゃめちゃ「???」だったわけですが、Mさんに「あなたの電話番号も教えといて」と勢いで聞かれ、たまたま外出先から帰宅したところだったので自分もバッグから名刺をとりだして渡しました。


その夜、練習を終えて、さてご飯作るか!と思ったところで電話が鳴りました。Mさんからでした。


「練習終わったんだね、食事に行こう」「・・・えっ?」


「あー、警戒しなくていいから。僕は婚約者と一緒にここに引っ越してきて、もうじき結婚するし、なんかそういうんじゃないから。仕事の話を聞きたいんだよ、いろいろ協力できるかもしれない」「・・・はい・・・」


何せ階上に住んでいますし、在宅していることはばれていますし、今から出かけるとかいうのはちょっと不自然な時間帯ですし、逃げられないなと思い、警戒MAXで出かけました。


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