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パレイドリアとチェシャの猫

パレイドリアという言葉をご存じですか?


どうやら歌のタイトルなんかにもなっているようですし、ゲームとか漫画にも出てくるのかな?なので皆さんにはおなじみの言葉かもしれませんが、イヤーワームとかと同じく、「名前ついてると説明が楽!」案件。ゲシュタルト崩壊とかもそうですかね。便利です。


というわけで、パレイドリアですが、ググって出てくるのは一般的に以下のような感じの説明です。


心理現象の一種。受けた視覚・聴覚刺激に対し、本来そこに存在しないもの(よく知っている物の形や音声パターン)を思い浮かべたりあてはめたりする現象。例としては、雲の形から動物や顔などを思い浮かべたり、月の模様から人や兎の姿が見えてきたり、録音した音声を逆または速度変更などして再生した際に別のなにか(メッセージやメロディなど)として認識するなど。


ただ、例えば雲が顔に見えると思ったとしても、「それは実際は顔でなく雲である」という認識は保たれる、ということが条件となるようです。


それに対して、逆三角形の各頂点の位置に配置された3つの点が顔に見えると思うのはシミュラクラ現象なんだそうです。パレイドリアとの違いがちょっと分かりにくいのですが、簡単にまとめると、全体像から入ってなんとなく顔に見えてくるのはパレイドリア、3つの点に注目して顔だと認識する仕組みのようなものがシミュラクラ。実際はその両方が複合されたような認識であることも多いのかもしれません。


ところで、以前ツイッターで「ディズニー制作版“不思議の国のアリス”は好きじゃない。特にチェシャ猫がピンクと紫の縞模様なのが許しがたい。」と発言したことがあります。


ファンが多いものに対し「嫌い」「許しがたい」みたいな意見を表で出すと、たいていこちらが嫌われる。フォロー解除されたりとかもあります。

マジョリティに好まれるものについて、それを「好きではない・嫌いだ」と思っていても、わざわざ意見表明しない限りは「とくに興味はない」程度だと思われていますし、なんなら「あんなに人気があるんだからみんなまあまあ好きではあるだろう(けど熱狂的ではない人もいるかな)」みたいな勘違いすらされがちですので、わざわざ「なぜそれが嫌いか」を述べるとびっくりされてしまう。でも、私にとっては、あのチェシャ猫は、ほんとにひどい。ほかにもキノコの上の芋虫さんとか、いろいろひどいなと思うけど、一番許せないのがチェシャ猫。


木陰にいて、にやにや笑いを残してふっと消えてしまう猫。


あれ、テニエルによる挿絵でご覧になったことのある方にはわかっていただけると思うんですけれど、典型的なパレイドリアだと思うんですよ。だから、ふっと消える。というか、見えない人には見えない。


幼いころ、親などに「ほら、あそこ、顔みたいに見えるよね」って、家具の木目だとかカーテンの模様だとかのちょっとした具合を一生懸命説明して、なのにあまりわかってもらえなかったこととか、ありませんか?


チェシャ猫はそれを象徴しているんだって思ってた。だから、ディズニー版見てぶったまげたんですよ。ピンクと紫のあんなのがチェシャ猫のわけがない!って。


シューベルトの歌曲「魔王」でも、魔王は子どもにしか見えていません。

まああれには様々な解釈があって、子どもをどう抱えていたか、見えていた景色(方角)は同じか、など色々考察はあるようですが、それでもとにかく、お父さんは子どもの見るパレイドリア(と言ってしまってよいかどうかもまた難しい問題ですが)を否定し、どうにかなだめようとはしています。


チェシャ猫と会話するアリス。魔王がいるとお父さんに訴えるあの子ども。


そして、カーテンの模様が怖くて眠れなかった、あのころの自分。


そういうものすべてひっくるめてあのピンクと紫で台無しにされた気分になるので、本当にあのアリスは大嫌いです。



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