noteからの転載③山羊の反芻
- eri tsuchiya
- Feb 4, 2021
- 3 min read
Updated: Jan 8
GODIVAの思い出
2020/08/11 23:51
今日のツイッターTLで「女性へのプレゼント、予算5000円ならGODIVAより高級コスメブランドの基礎化粧品一つとかのほうが”断然”うれしいから!」みたいなのが流れてきたんですけど。
それはない。
比較的なんでも肌に合うけどアトピー含め肌トラブルも抱える身としても(化粧品由来でなくアトピーやいろいろが起きるらしい)、そうでなかったとしても、それはないですよ。
GODIVAは自分にはいただきものでしか味わえない特別なチョコレート(自分で買う兄は高い)。ほかにも好きな食べ物はいろいろあるけど。
さて、GODIVAといえばちょっと「普通ではないいただき方」をした思い出があります。
かなり昔のことになりますが、ある年のクリスマスシーズン、とある百貨店で日ごろお世話になっている人にプレゼントを買いました。レジから回されたクリスマスのラッピングカウンターは込み合っていて、レジで渡された番号札を手に待機。番号が呼ばれて、きれいにラッピングされた商品を受け取りましたが、ふと「中身は本当に自分が選んだものだろうか…」と不安がよぎりました。
その後それを渡す人に会って、渡したんですけれど、「ちょっと不安なので今開けてみてほしいんです」とお願いしたら、不安的中、中身が全く違うものでした。
価格差はさておき、趣味も違うし…相手は「気に入ったのでこれを使いますよ」とおっしゃっていたけれど、納得がいかずレシートの電話番号に連絡。既に閉店していましたが警備会社の人が丁寧に伝言や私の連絡先を受けてくれたし、渡したい相手にお願いしてその現物はいったん私が預かってその日は帰宅しました。
次の朝、その売り場の責任者の方から電話がありました。
とにかくお詫びをされ、どんなに自分が迷惑をかけたか想像もできないから謝る資格すらないといわれ、この大事な贈り物であなたが受けた損失を埋める手立てなど一切ないことは承知のうえで、今から商品の取り換えに伺います、と。
それは革製品だったのですが、とにかく購入した商品の確認をし、大丈夫ですよ私が今から店頭に伺いますからと言ってみたんですけれど、「もし数時間もらえるなら今から倉庫に言って在庫をすべて持ってご自宅に伺います、革製品というのは繊細ですから、お客様はきっと店頭にあった在庫から様々な理由で一つを選ばれたことと思います、二つと同じものはなくともせめてたくさんの在庫を集めさせてほしいのです」と。
なんかもうじゃあそうしてくださいというしかなくてぼんやり家にいたら、その責任者の方がやってきました。在庫は4つ程度でしたが全部持って。ラッピングの用品も一式持ってきて、私に再度選ばせ、玄関先できれいにラッピングしなおし、「時間だけはどうしても取り戻せません。本当に申し訳ありません」と言って、一つの包みをさしだしてきました。
GODIVA。今までもらった中で一番大きな箱でした。商品の価格の2倍くらいしそうな大箱でした。
慌てて、「ここまでしていただいてこの上これはいただけません」とお話ししたんですが、「時間や機会を奪ってしまったことは何をしても償えません。せめて受け取ってください」と。
私より一回りは年上の、大手百貨店の責任者さん。GODIVAの大きな箱を手に呆然とする私に深々と頭を下げ、玄関のドアが閉まり…ふと「解放感でせいせいしてるかな…」と思って魚眼レンズを覗いてみたら…
その方は、しまったドアに向かって、頭を下げていたんです。もう、マニュアルだろうが何だろうがすごい。すごいですよね。それからしばらくの間、GODIVAを毎日一つずつその売り場の人たちのことを考えながらいただきました。
確かにミスはした。でもこの百貨店はずっとあってほしいと思いました。

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